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しましま体験談

福江島で働いていた薬剤師・ウラジャさん「島のスタッフさん達との飲み会で、仕事の誘いにOKしていたらしくて……」

今回は、五島列島福江島で2年間の勤務経験がある薬剤師、ウラジャさんに取材を行いました。

五島列島は、九州の西側に位置する群島で、人口は計約7万人、離島のなかではかなり大きい部類になります。福江島は、そのなかでも最も大きく人口も多い、五島列島の南西端に位置する離島です。

Goto Islands

五島列島と九州の位置関係(Misogi [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

Goto Islands Nagasaki Ja

五島列島の全景と福江島の位置(Modified by Pekachu [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

ウラジャさんは大学卒業後、約3年間、地元・山口県の調剤薬局で一般の薬剤師として勤務。その後、五島列島の福江島の調剤薬局に転職して2年。そしてその後また山口県の調剤薬局に戻ってきて、現在は勤続3年とのことです。

なぜ地元を出て、福江島などという特殊な場所で働くことに決めたのか? また、なぜ福江島を出ることになったのか? そのあたりを詳しく聞いてみました。

プロフィール

ウラジャさん

五島列島の福江島で勤務経験がある、30代前半の男性薬剤師。ご出身は山口県岩国市。最近ハマってることは「ps4のエースコンバット7で毎晩出撃すること」だそうです。

なんで福江島で働いていたんですか?

――新卒で地元の山口県で就職されたとのことで、そのまま住み慣れた地元で働き続ける選択肢もあったと思います。なぜ、五島列島の福江島で働くことになったのでしょうか?

福江島で働くことになったきっかけは、すでに福江島で働いていた薬剤師さんから「一度、遊びにおいでよ」とお誘いを受けたことです。この薬剤師さんとは東北で震災があったときにそれぞれの県のDMATから派遣され、たまたま同じ避難所を回ることになって出会いました。

DMATの派遣期間が2週間だったので、派遣が終わってからしばらくはLINEなどでやり取りをしてるだけでしたが、あるとき「また会いたいね」という話になったんです。それで、僕は五島列島に足を運んだことが無かったので、お互いの休みが会う時に僕が福江島に遊びに行くことになりました。

――偶然の出会いがきっかけだったんですね。福江島については当時、どのような場所だと説明されていましたか?

とても綺麗なビーチがあって、歴史的な建物(隠れキリシタンの教会や灯台)が多くて、美味しいミズイカの刺身があるよ〜という感じで聞いていました。

Douzaki Church in Nagasaki

堂崎天主堂 – 福江島にある隠れキリシタンの協会。(Sapphire123 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

五島列島のミズイカ(アオリイカ)

ミズイカというのは、アオリイカの五島列島における呼称。画像:五島市観光物産課様「五島の島たび」より引用

――実際に福江島に来てみて、どのようなことを感じましたか。

初めて島に来たときにまず思ったのは、思っていたよりも人が多い、ということでした。「離島=過疎で誰もいない」みたいなイメージだったのですが、そんな事はなく、あちこちにそこそこ人がいる状況でした。

福江島・中心市街地のGoogleマップ

――島に来てまず何をしましたか?

実はそのとき、島に少し早く着いていたので、その薬剤師さんの働いてる薬局に寄って、仕事が終わるまで30分ぐらい待たせてもらうことになったんです。

薬局の様子も見せていただいたのですが、建物の外観は古そうだけども中は綺麗で、スタッフの方たちものびのびと仕事をしている印象を受けました。また、こっちのことを気にして手の空いてる人は話しかけてくれて、とても気づかいのできる人が多いなと思いました。

患者さんもあまりいなかったので、他のスタッフの人達と話したりしてるうちに打ち解けてきました。そして、夜はそのスタッフの人達も誘って飲み会をすることになりました。

――飲み会では何を話されたんでしょうか。

お酒も入っていたのでハッキリとは覚えていなかったのですが、酔った勢いで仕事のお誘いに「是非!」みたいなことを言った記憶がうっすらあって、あとでちゃんと話を聞いてみたら、「うちに来てください」みたいなことを皆さんに言われたときに、こんなに楽しい人達と仕事ができるなら是非!というような返事をしていたらしくて……(笑)

冷静になって「どうしよう……」となったんですが、改めて色々と考えるうちに、実際に島で働いてみたい気持ちが出てきました。それで、1年ごとに更新するかどうかを決められる条件で働きたい、ということをお伝えして、正式に転職することになったんです。

――勢いのある決断ですね! 何が決め手だったのでしょうか?

何か新しい刺激が欲しかったから、ですかね。他に、職場で特に何か嫌なことがあったわけではないです。

当時、地元山口での仕事はもう慣れてきていて、仕事もある程度はこなせるようになっていました。ただ地元での仕事は、毎日ほとんど同じような処方箋を調剤して、仕事に面白みが欠けていると感じていました。今の場所が退屈なだけなのか、他に移ればまた違った世界があるのか? それが知りたいという気持ちが強かったです。

給料とかってどんな感じなんですか?

――福江島に転職される際の、年収提示はどのようなものでしたか。

年収は580万円、前より120万円上がりました。

――家賃補助や、転居費用の提供はありましたか?

転居費用は全て会社が出してくれました。

家賃も同様に会社が出してくれるというお話だったのですが、じつは最初の薬剤師さんのお父様が「祖父が亡くなってから使ってない家があるから、使わない? 綺麗で家具や家電、原付も好きに使っていいから」と言ってくださったんです。なのでお言葉に甘えて、その家をタダで貸していただいていました。

離島に転職するの、不安じゃありませんでしたか?

――福江島で働く上で最も不安だったことや、懸念されていたことを教えて下さい。また、それらは実際に福江島に来てみてどうだったか、教えて下さい。

とても不安だったのが、薬局のスタッフ以外は知り合いがいないので、自分になにかが起こった時は誰も頼る人がいないということでした。

ただ実際に島で住み始めたら、近所の人が声をかけてくれたり、社会人サークルに誘われたりと、充実した生活を送れていました。なので、頼る人がいなくて困ったという状況には結局一度もなりませんでした。

――社会人サークルは、繋がりを作るのには良さそうですね。何をやられていたんですか?

フットサルと釣りのサークルに入っていました。どちらも毎週あるわけではないのですが、気が向いたときにいけそうな仲間を誘ってやったりする、すごく緩い集まりでした。

福江島ってどんなところですか?

――福江島に来て初めて気付いた、福江島でのお仕事の良いところ・悪いところをそれぞれ教えて下さい。

福江島での仕事の良いところは、基本的に「かかりつけ薬剤師」のシステムが国の制度ができる前から機能していたということです。

どういうことかというと、島の人は好き嫌いがハッキリしていて、「○○さん(薬剤師の名前)がいい」というようなことを受付で言う人が多かったんです。それもあって、患者さんの症状をしっかりと把握した上で対応することができていました。

悪いところはこれの裏返しでもあるんですが、患者さんの好き嫌いがハッキリしてるせいで、かかりつけの患者さんを得るのが最初のうちは難しくて、投薬の件数がなかなか多くならなかったことです。

――なるほどですね。かかりつけの患者さんを得るのに、なにか工夫などはされましたか?

最初から無理に投薬に行くのではなく、時間をかけてまずは地域の人に知ってもらうことから始めました。

たとえば、薬剤師会から地域のお薬教室に講師の派遣依頼があったときなどは、迷わずに引き受けました。そういうことを続けているうちに、「この人は相談しやすいな。相談したら何とかなるかも」と思ってもらえるようになり、そこからは口コミで広がっていき、かかりつけの患者さんも得られるようになりました。

――福江島に来てびっくりしたことや、笑えるエピソードなどがもしあれば教えて下さい。

とにかくビックリしたのが、マムシがあちこちにいることです。貸していただいた家の原付置き場や、玄関の傘立ての中、物置の中など、そこら中にウヨウヨ居ます。

ニホンマムシ

田舎だと当たり前みたいに居る猛毒の蛇、ニホンマムシ(KENPEI [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons

あるとき、自宅近辺で2日間で3回もマムシが出たことがありました。その時はもうとにかく怖くて道路に逃げたんですが、それを聞いた近所の子供たちが「退治してあげる!」というんですね。で、大丈夫なのかなぁ……と思いながらも遠巻きに見ていたら、みんなが大きな石を探して持ってきて、マムシを潰そうとしているんです。

聞くところによると、島でのマムシのオーソドックスな対策は「大きな石で潰す」ことだそうです……。

――最終的に五島列島の福江島を出られた理由や経緯を教えてください。また、福江島を出られたあとで、福江島での勤務経験が活きていると感じる場面がありましたら教えてください。

島を出ることを決めた理由は、そこでこのまま生活をしていくことがイメージできなかったからです。

仕事は楽しくできていたし、生活にも満足はしてたのですが、ここじゃないとできないことや経験できないことというのを見つけることができなかったからです。なので特に福江島での経験が活きていると感じることも正直なところありません。

読者の薬剤師さんへのメッセージをどうぞ

――その他、離島へき地を勤務先として検討されている薬剤師さん向けになにか伝えたいことがあれば教えて下さい。

自分みたいにただ何と無く離島で過ごしてしまわないために、具体的に何をしたいのか、何か目的を持って行くほうがいいと思います。

あとがき

▼キャリアアドバイザーのコメント

島に来られる前は毎日同じような調剤で、面白みに欠けていた、とのことですが、同様の内容でご相談に来られる薬剤師さんはとても多いですね。それを理由に転職を希望する方も多いです。特にひとつの店舗で勤めていると、処方箋の中身も患者も変化がなく、マンネリ化してしまうらしいです。

社会人サークルというのは、島全体の距離の近さを感じるので、良さそうですね。ただ、マムシがいる生活が日常というのは怖い! 少なくとも、自分は住むのは厳しいと感じます……。

「島での経験が活きていない」というのは意外です。たしかに、仕事内容自体はほぼ変わらないですし、しかたない部分もあるのかな? 地域医療への貢献(在宅医療)ができていれば、もう少し変わっていたのではないか、と思います。

著者プロフィール

鈴木 裕也(すずき ゆうや)

Webディレクター、ライター。当サイト「しましまワークス」の立ち上げや、「ドラおじさんの薬剤師・転職相談室」の運営など。愛知県豊田市のスーパー山奥で育ちました。大学進学のときに上京しまして、今は東京で妻・息子4歳・娘2歳の4人で暮らしつつ、小さい会社をゆるゆる運営しています。

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