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しましま体験談

富士山の麓・朝霧高原で働いていた薬剤師、なかあきさん「興味のある分野の先生がいらしたので、飛び込んでいきました」

今回は、静岡県富士宮市の朝霧高原で1年間の勤務経験がある薬剤師、なかあきさんに取材を行いました。

朝霧高原は、富士山のちょうど西側に広がる緑豊かな高原地帯のことで、富士箱根伊豆国立公園に指定されています。離島ではありませんが、酪農が盛んであり、乳牛がのんびり暮らす牧場がそこかしこに沢山ある「the 僻地」です。

朝霧高原の代表的な牧場の1つ「富士ミルクランド」ホームページ。朝霧高原の様子を写真から伺い知ることができる

朝霧高原と富士山の位置関係(Google Map)。森、って感じですね。

なかあきさんは、今まで合計10もの調剤薬局に勤務。漢方に興味を持ち、メディカルアロマ、フラワーエッセンス、代替医療などについて勉強をしているうちに、統合医療で有名な先生が朝霧高原にいらっしゃることを知り、それから思い切って朝霧高原に移住されたのだそうです。

朝霧高原という特殊な場所に行くにあたり、不安などは何もなかったのか? また、実際に転職してみてどうだったか? そのあたりを詳しく伺いました。

プロフィール

なかあきさん

静岡県富士宮市の朝霧高原で勤務経験がある、男性薬剤師。薬剤師歴は約20年。ご出身は静岡県浜松市。好きな漫画は「北斗の拳」と「ジョジョの奇妙な冒険」だそうです。

なんで朝霧高原で働いていたんですか?

――なぜ富士宮の、朝霧高原という特殊な場所で働くことを決められたのでしょうか。理由や経緯を教えて下さい。

もともと自然療法に興味があり、のちに仕事に取り入れたく、アロマや代替療法などを勉強していたんです。そのとき、講演やセミナー等で登壇されていた医師が、富士の山の中で診療をやっていることを知りました。

興味を持ってもう少し詳しく調べてみると、その先生のクリニックの隣にある薬局でちょうど、薬剤師を募集していることが分かりました。そこでさっそく、その医師に手紙を書き、薬局でのお仕事を紹介していただく流れになりました。

それ以外にも色々な偶然も重なったのですが、そのようなことで、朝霧高原で勤めることになったのです。

給料とかってどんな感じなんですか?

――朝霧高原に転職された際の、条件提示はどのようなものでしたか。

前職とほぼ同じ年収でした。具体的な額については記憶が定かではありませんが、管理薬剤師手当を含めても500万円ちょっとだったと思います。

――家賃補助や、転居費用の提供はありましたか?

残念ながらそれはありませんでした。ただ、転職先のスタッフの方が住宅探しを親身になって手伝ってくださったおかげで、比較的良い場所に住むことが出来ていたとは思います。

具体的には、通勤や買い物の際の手間、ときどき東京に出て勉強をしたいのでそのときに不便でないこと、近隣にある製紙工場からの空気汚染がないなど、地元に住んでいる方でないと分からない情報を事前にいただくことができました。

僻地に転職するの、不安じゃありませんでした?

――朝霧高原で働く上で最も不安だったことや、懸念されていたことは何ですか。

最も不安だったことは、車の運転です。

転職する前は関東に住んでいたので、通勤や生活に車は必要ありませんでした。免許は一応持ってはいたもののペーパードライバーだったため、朝霧高原に来て交通事故を起こしてしまわないか?というのが一番不安でした。

それに加え、一人薬剤師ということもあって絶対に遅刻することができないこと。また冬は雪が降るので、スリップも心配なこと。さらに朝霧高原という名前の通り、霧が頻繁に出るということや、小動物もよく飛び出してくるということも聞いていました。

朝霧高原の霧

朝霧高原の霧。画像は、朝霧高原まかいの牧場様公式サイトより引用

――確かに、慣れていないとキツそうですね……。実際はどうだったのでしょうか?

結論としては、特段なんの問題も起こすことはありませんでした。あらかじめこういう時はどうすればいいか?というのを詳しく聞いていて、それに従って慎重に運転したり行動したりしていたからだと思います。

あるとき、寒さで車のエンジンがかからなくなってしまったことがありました。そのときも、薬局で紹介してもらった親切な車屋さんに、休みの日にも関わらず遠くまで来て対応していただくことができ、助かりました。

他にも「病気などしたときは、一人薬剤師でどうしようか……。」ということは相変わらずありましたが、勤務中は多少の病気はしましたが、特に休むまでに至らずに勤務を継続することができました。

朝霧高原ってどんなところですか?

――朝霧高原に来て初めて気付いた、朝霧高原でのお仕事の良いところ・悪いところをそれぞれ教えて下さい。

良いところは、お客さんの人柄がみんな優しいところです。時々、差し入れをくださる方もいて、患者さんと仲良くなることが多いのが、田舎ならではの特徴と言えると思います。

場合によってはかなり長話になるときもあって、他の患者さんを待たせてしまうこともあるのですが、それでもみなさん「話をしたい」と言ってくださり、私の話も素直に聞いてくださることが多かったです。やはり都会と違って、時間がゆっくり流れている感じがしました。

また、朝霧高原ならではの体験もなかなか良かったです。例えば、これまで一度もしたことがなかった雪かきも体験できましたし、薬局のインテリアを用意するのに、自然にあるもの(葉っぱや松ボックリなど)を使って飾ったり、山の中のものを使って薬局をアレンジしていくことも非常に楽しかったです。

悪いところは、自然が豊かすぎてときどき大自然の脅威に襲われることです。よく言われるように「虫が大きい」だけならまだいいのですが、スズメバチの脅威が身近にあるのは本当に怖かったです。朝霧高原の薬局での仕事には必ずこういった虫の退治や、巣の排除などがあり、危険が伴いました。

田舎だとよく見る、スズメバチの巣(Togabi [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

また、患者さん同士がほとんど顔見知りであり、病気のことを近所に知られることを懸念している人が多かったです。それもあって、待合室の狭い空間での服薬指導は小声でやったりと、気苦労は多かったです。

他にも、農業や畜産をやっている患者さんが多いので、かなり朝早い時間に医師が開ける日もありました。従って薬局もそれに合わせて開けないといけなくなるので、朝出勤が早いのも大変でした。

――朝霧高原に来てびっくりしたことや、笑えるエピソードなどがもしあれば教えて下さい。

特にびっくりしたのは、都会と違って自然の恵みが本当にたくさんあるということです。

動物もそうですが、食べ物が常に大きいし美味しい。ただ、先述の通り虫が異様にデカいというのはありますが……。しかしそれもポジティブに捉えるなら、なかなか出会うことができない虫に出会うことができた、とも思えますね。

あと都会では人が車が多いので、あまりこういうことは無いと思うのですが、田舎で道路が空いていると結構なスピードを出してしまいがちになります。一度、地元の事務さんから「スピード出し過ぎ!」と怒られたことがあります。笑

――最終的に、朝霧高原を出られた理由や経緯を教えてください。

私はもともと、薬剤師としての独立を目指していました。その中で代替医療をもっと広めたい思いが強く、「医師がどういう取り組みを実際されているのか」に大変興味があったため、朝霧高原の薬局に転職したのです。

実際に、薬局に勤めながら本格的な漢方に触れられることは大変勉強になりました。しかし結局のところ、自分が漢方の処方をしているわけではなく、患者さんへのアドバイスは医師のアドバイスをベースに行わなければなりません。そのことが引っかかっていました。

また一人薬剤師ということもあり、薬局の通常業務や、自分のこれからやりたいものに繋がらないタスクに、自分の時間が割かれがちな状況が続いていました。

そして都会の方が情報の流通が早いため、そちらの方がもっと情報を早く効率的に得られ、伝えることができるのではないかと考え、時間と情報流通の面を考慮して、関東に戻って来ました。また、朝霧高原で得られたことや体験したことをもっと早く広めていく目的もありました。

読者の薬剤師さんへのメッセージをどうぞ

――離島へき地を勤務先として検討されている薬剤師さん向けに、なにか伝えたいことがあれば教えて下さい。

経験にはいろんな経験があると思います。都会で、あるいは田舎でしかできない経験。忙しい薬局でする経験と、暇な薬局でする経験。先生でもいろんな先生がいて、人間関係など面倒くさい部分もありますが、僻地には僻地にしかないものが必ずあります。

大自然を常に満喫し、その良さも悪さも経験することで、人とは違う薬剤師、一皮向けた薬剤師になることができるのではないかと思います。

あとがき

▼キャリアアドバイザーのコメント

管理薬剤師手当を含めて年収500万円は、率直に言って安いですね。

都会のほうが情報が早いため、都心に転職したい。私のもとにご相談に来られる薬剤師さんでも、同じように考える方は少なくない数でいらっしゃいます。学会や勉強会は、都心でないと参加が難しいという話もよく聞きます。自身で何か深めたいものを持っていて、その知識を求める方は、都心への転職を希望する傾向にありますね。

著者プロフィール

鈴木 裕也(すずき ゆうや)

Webディレクター、ライター。当サイト「しましまワークス」の立ち上げや、「ドラおじさんの薬剤師・転職相談室」の運営など。愛知県豊田市のスーパー山奥で育ちました。大学進学のときに上京しまして、今は東京で妻・息子4歳・娘2歳の4人で暮らしつつ、小さい会社をゆるゆる運営しています。

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