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しましま体験談

奄美大島の薬剤師・佐藤さん「彼氏が先に離島に移住してて、羨ましくて……」

2018年の2月から奄美大島に移住して今も働いている薬剤師・佐藤さんに、離島薬剤師の体験談の執筆をお願いしました。「まだ島に住んでる歴が浅いですが、上司も6年前に本土から移住してきた方なので、上司の体験談も踏まえて記事の作成ができると思います」とのことです。

奄美は僕も行ったことがないのですが、奄美大島は離島のなかでもある程度人口が多くて “離島ぐあい” がちょうど良いのと、種子島の薬剤師・田中さんも「知り合いが奄美に居て行ったことあるけど、あそこはめちゃくちゃ良い」と仰っていたりしていたので、気になっていたんですよね。実際はどうなのでしょうか?

プロフィール

佐藤さん

奄美大島の調剤薬局に勤務する薬剤師。30代前半、女性、ご出身は四国。「これまで大阪の病院、四国の調剤薬局と勤めてきましたが、奄美大島が一番居心地がいいですね」とのこと。 ※この画像は奄美で撮影したものではないそうですw

なんで奄美大島で働いてるんですか?

――大阪の病院や、ご実家付近の四国で働き続ける選択肢もあったと思いますが、なぜ奄美大島で働くことを決められたのか、理由や経緯を教えて下さい。

一番の理由はお付き合いしている人がすでに奄美に移住していたことですが、もともと青い海に囲まれた地域で暮らすことに憧れていました。

社会人になってから趣味でダイビングをしていて、休暇の時には沖縄の離島への旅行を定期的にしていました。旅行で離島に来る度に、「島は海がきれいだし人も優しいし、いいなぁ」とは思っていたんですが、出身が田舎なので、当時は都会が便利で楽しく離島に住むことに踏み切れませんでした。

ですが、四国に戻った理由にもなるんですが、ある時に都会に住むことは本当に便利なのかなと疑問に思い始めたんです。

小さい頃から海が好きなので、それで大人になってからダイビングを始めたんですが、都会に住んでると泳げる海に行くまでが遠い!地元では自転車で15分のところに海があったので、電車や車に乗って向かうということに違和感を持ち始めました。四国で就職したところは、実家に住みたくないのもあり……(笑) 地元から車で1時間ほどの県庁所在地にしたんですが、海へはまだアクセスが良くなったんですが、今度は勤めたところが長時間残業が当たり前のところで。有給を取ることもなかなか許されず、心に余裕が持てなくいました。

その時に、お付き合いしている人が奄美大島に移住することになり、私も何回か遊びに行くにつれ、奄美大島の暮らしやすさや文化を知って、昔あった離島に住むという憧れを思い出し、奄美大島に移住することを決めました。

給料とかってどんな感じなんですか?

――離島に転職された際の条件提示はどのようなものでしたか。具体的であるほど嬉しいですが難しければだいたいでも構いません。(年収いまいくら、いくら上がった、家賃補助や転居費用の提供がいくらあった、等)

年収は約400万と、前職より100万以上下がりました。ボーナスもないですが、その分自由に過ごさせて頂いてるので幸せです。心に余裕が持てています。家賃補助はありませんが(パートナーと同棲していることもあり)、交通費を毎月2万頂いてます。社長が太っ腹で、ありがたく思っています。

勤務形態は、パート勤務を希望していました。社会保険がつくように週30時間以上の労働勤務で、正社員でないことを条件にしていました。前職で疲労していたので、正社員だからいくらでも働かされるんだと思っていたからです。時給は高いほどいいとは思っていましたが、職場の雰囲気、調剤棚の整理や清潔状態を見て決めようと思っていました。

当時、募集のあったところが2社でした。今勤務しているところはその中の1社です。時給はどちらも大きな差はなく、私のことを快く受け入れてくださるところでしたが、パートは交通費なしと言われたところはお断りました。田舎ほど、まして離島は車社会なので、交通費が出ないのは困ると思ったからです。わがままですね(笑)

転居費用の提供はありませんでしたが、就職サポート会社の方に、「転居費用を支払ってくださるところはかなり辺鄙な地域か、よほど薬剤師が足らず困っているところとなるので、費用を出してくれるところは正直あまり良いところだと思わないほうがいいです」と言われていたので、お願いもしませんでした。毎月交通費をかなり多めに頂いていて十分ですしね。

離島に転職するの、不安じゃありませんでしたか?

――離島で働く上で最も不安だったことや、懸念されていたことを教えて下さい。また、それらは実際に奄美大島に来てみてどうだったか教えて下さい。

薬歴や事務入力のシステム、医薬品の供給ですね。これまでの職場は電子カルテや薬歴、事務入力もパソコンやiPadのソフトだったので、手書きだったらどうしよう、と。すると、今の勤務先はともかく多くの薬局も病院も電子カルテ、パソコンソフトで安心しました。

医薬品の供給も、鹿児島の卸から送られてくるのではなく、島内の卸が薬局に配達しに来てくれてるのです。島内に卸会社が5社もあるんですよ。鹿児島の卸2社とも少し取引はありますが、たいていは島内の会社で事足りています。

しかし発注をしても在庫切れのことは多々あります。よく話す卸の営業担当の方に聞いたら、倉庫があまり大きくないので、と言っていました。島内に在庫のない薬は早くて翌日、たいていは2日かかってしまうことは困っていますし、患者様のことを考えたら不便だと今でも思いますね。

奄美大島ってどんなところですか?

――奄美大島に来て初めて気付いた、奄美大島でのお仕事の良いところ、悪いところを教えて下さい。

良い点は、人がとても温かく、穏やかなところです。島は自分の兄弟や親戚、同級生など同じ島の人たちとの繋がりが強いんですが、私のように本土から来た人間も温かく迎えてくれました。患者様からも、本土から来たというだけで嫌な顔をまったくしないです。

特にそこそこの年配の女の人はかわいがってくれてます。大家さんなんて、「子ども生まれたら私が面倒見てあげれるよ!」って言ってくださってて(笑) 島の女性はお世話好きかもしれないです。

悪い点は、先ほどの回答と被ってしまいますが、薬の供給面に不便さはあります。島内にない薬は早くて翌日、たいていは2日後に入るんですが、”船が止まらなければ”という条件が必ず付いて回ります。

奄美大島の物流は全て船での輸送です。なので、台風などで波が高い時は船が来ないんですね。しかも台風の影響が意外と長い。台風が奄美大島付近に上陸している期間はもちろん船が来れない状態なのですが、たいていの台風は北上して、今度は鹿児島に上陸します。すると、鹿児島からの船が出港できない。そのため、奄美大島に船が来ない日数が3日間ほどになります。

それより長くなると鹿児島から臨時便を出してくれるので、他の離島に比べれば物流が止まる期間はまだ短いほうかもしれません。

――島に来てびっくりしたことや、笑えるエピソードなどがもしあれば教えて下さい。

単純ですが、「はげー」という奄美の方言に最初は笑ってしまいましたね(笑)

驚いたり、残念がったり、感心したりなど、特別な意味はない言葉で、決して頭のことじゃないです。年配の方だけでなく若い人たちも使ってるので、もう慣れちゃいましたが。

あとは「どぅまき」!帯状疱疹のことです。最初聞いた時はなんて言ってるのかわかりませんでした。「背中にできものができて、それが体一周したら死ぬ」と昔から伝えられているようです。若い人たちも親からそう教えられているようで、島の人たちはみんな「どぅまき」のことを知ってますね。

でも、「一周したら死ぬ」って言うフレーズは、最初聞いた時は失礼ですが笑ってしまいました。きっと、「どぅまきにかかってる間は体が弱ってる状態だから、ひどくなるまで放置しないように」ってことだと思います。

読者の薬剤師さんへのメッセージをどうぞ

――その他、離島へき地を勤務先として検討されている薬剤師さん向けに、なにか伝えたいことがあれば教えて下さい。

意外と「成せばなる」!

見知らぬ土地に住むことにはやっぱり不安や心配がつきものだと思いますが、こういう島に住むことはとてもいい経験です。旅行で数日滞在するだけではわからない文化や人、気候が、住んでみてわかる。不便さももちろんありますが、なんとかなるものです。最近はネット通販が発達してますから、島になくて困っているものは取り寄せれば済む(届くまでに3日かかることは不便のひとつかもしれませんが笑)。

私は奄美大島に来て良かったと思ってます。島という狭いコミュニティのためもあり、人との距離が近い。だからか、患者様の力になれるようなことをしたいと考えるようになり、恥ずかしながら本土にいる頃よりも勉強するようになりました。

例えば、頭皮や髪の毛で悩んでいる人のためのリーフレットを作って交付したり、店舗では私の提案でシャンプーを販売するようになりました。現在はアロマセラピーの勉強をしています。これは主に心療内科にかかっている患者様のリフレッシュやリラックスになれば、と思って始めました。

私にとって島の生活は、都会にはない心の余裕を作ってくれています。心配や不安はどこに行っても何かしら付いてくるものだし、意外と問題もなんとかなるものなので、どうせなら心の余裕が持てるところに思いきって飛んじゃう、というのも手ではないかと、私は離島勤務を悩んでいる先生方に提案したいです。

あとがき

▼監修キャリアアドバイザーのコメント

すごく良い転職をされたんでしょうね。言うこと無しです。お幸せに!みたいな。こんなコメントじゃダメですかw

特に最後の「患者様の力になれるようなことをしたいと考えるようになり、本土にいる頃よりも勉強するようになった」という部分。ここ、ナチュラルに書いてくださっていますけど、真理だなと思います。

というのも都市の薬局なんかだと、自分で変革できる範囲って狭いじゃないですか。だからこの方が仰ってる、シャンプーとかアロマとかの取り組みって、すっごく失礼ですけどこの方が本土に居たままだったら多分、やろうとは思わなかったんじゃないかなと思うんですよ。

それが離島へき地だったら、自分が動けばいかようにも変えられる。というかむしろ頼ってくれるし、「自分しかいない」って無意識に思える。それが薬剤師冥利というか、人としてすごく充実するんだろうなと思います。

ただ、移住にあたって本当に不安がなかったのかな?っていうのは思いますね。ダイビングが趣味っていうのはもっともらしい回答ですけど、キャリア形成とか諸々考えたときに、ぶっちゃけ離島に行くのってやっぱり不安だと思うんですよ。まあ多分、「なんとかなると思った」みたいな、楽観的な回答になるのかなと予想しますが。

▼鈴木のコメント

一通り読ませていただいて、奄美大島での生活を楽しまれているんだなあというのが強く伝わってきました。

あと思ったのは、「好きな人がそこに居る」っていうのは、めちゃくちゃパワーがデカいんでしょうね。それだけのことで多分、どこへでも行けてしまうんだろうな、というか。変な話、これが離島とか僻地じゃなくて「海外」に行くことになったみたいな話でも、「まあいっか」って言って行っちゃうぐらいのパワーを持ってますよね、きっとw

著者プロフィール

鈴木 裕也(すずき ゆうや)

Webディレクター、ライター。当サイト「SHIMA SHIMA」の立ち上げや、「ドラおじさんの薬剤師・転職相談室」の運営など。愛知県豊田市のスーパー山奥で育ちました。大学進学のときに上京しまして、今は東京で妻・息子4歳・娘2歳の4人で暮らしつつ、小さい会社をゆるゆる運営しています。

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